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Topics of 東京警察病院 脳神経外科医 楚良繁雄のページ


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Key concepts

髄膜腫は頭蓋骨の中にできる良性腫瘍の代表です。多くはゆっくり大きくなり、正常脳組織との境界が明瞭な腫瘍です。脳を包んでいる髄膜やくも膜顆粒の表層細胞(arachnoid cap cell)から発生するので、髄膜のある部位ならばどこにでもできてしまいます。約85%は小脳テントの上方のスペースに発生します。残りは小脳テント下方の後頭蓋窩と呼ばれる脳神経が密集した狭いスペースに発生します。腫瘍によって圧迫された脳や脳神経の部位に応じて頭痛、けいれん発作、不全麻痺や視力障害、嚥下障害など様々な症状が出現します。最近は、脳ドックなどで偶然発見されることもよくありますが、小さな髄膜腫で脳への圧迫がほとんどなければ、原則的には治療は必要なく、外来で定期的に大きさや形状の変化、周囲の血管や脳神経との関係などを観察していきます。
 髄膜腫で手術が必要なのは、年月とともに腫瘍が大きくなるか、腫瘍による圧迫症状などが出現した場合です。髄膜腫の治療は、発生部位や年齢などを考慮して手術を中心に検討していくことになります。手術治療の第一の目的は、髄膜腫で間違いないのか正確な診断をつけることです。ほとんどの髄膜腫では完全に摘出されれば再発することはありませんが、重要な神経や脳の血管などが集中する部位に発生した場合には、完全に摘出するのは困難です。頭蓋の底部にできる髄膜腫などでは、残念ながら重度の後遺症を残す可能性も否定できません。逆に脳の表面にできて癒着のがほとんどない場合には比較的簡単に摘出できることもあります。手術摘出が極めて難しいものから容易なものまで、髄膜腫ほど様々なタイプがある脳腫瘍は他にありません。これらの多様性は発生部位と組織型という腫瘍の性格によるところが大きいと考えられます。
 いずれにせよ患者さんの年齢や症状などを考慮して結果の良い、バランスのとれた治療をすることが肝心です。
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テント上髄膜腫


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テント下(後頭蓋窩)髄膜腫



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Key concepts

三叉神経痛の診断が確定するまでにずいぶん時間がかかった方が多いのではないでしょうか。歯茎の痛みから始まった方は、すでに何本も抜歯をされた方もいると思います。痛みで食事が満足にとれなくなって痩せてしまったり、激痛がいつ来るか不安が高じて外出もままならなくなり、家に引きこもってしまう方もいらっしゃると思います。
 三叉神経痛は痛みのコントロールができる病気です。ここでは、三叉神経痛の概念について説明します。三叉神経痛は、片方の顔面に突発的におこる数秒間の激痛で、繰り返し起こります。はじめは、ピリッとした痛みの繰り返しですが、そのうち鼻の横に触れたり、食事を噛んだり、ヒゲを剃ったり、歯磨きや化粧、洗顔などがきっかけになって猛烈な激痛が誘発されるようになります。ひどくなるとカーテンを引いた音や風が軽く当たっただけでうずくまるほどの激痛が来るようになります。原因の多くは脳の血管が顔面の痛みを感じる三叉神経を圧迫していることです。診断には、MRIが有効ですが特殊な撮影方法を用いないと責任病巣を見つけ出すことはできません。
 三叉神経痛では、はじめのうちは抗てんかん薬のカルバマゼピン(テグレトール)が有効ですが、次第に効果が弱くなってきてしまいます。三叉神経を圧迫している脳血管を少しだけ移動する手術が最も効果的ですが、状況に応じてペインクリニックでのブロック治療なども用いられることもあります。漢方や鍼灸では改善することは難しいでしょう。年齢や症状の程度、ご希望などに応じて治療法を選択していくことになります。神経血管減圧術を受けた患者さんから体験談を頂いたので一度ご覧ください。痛みから解放されると普段の生活が全くかわったものになると思います。
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脳の血管が三叉神経を圧迫

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脳の血管を移動させて圧迫解除